ソーシャルゲーム大手のグリー（東京都港区）が、住宅市場でのシェアを拡大させている。同社が運営するリフォームのネット販売サイト「リノコ」は、現在月商が約2億円。そして先日、「住まい」の事業領域において、2018年6月期に売上高100億円を目指すことを発表した。
事業戦略の目玉としてリリースした、情報サイト「LIMIA（リミア）」の浅沼達平社長に、同社が目指す「住まい情報の未来」について聞いた。
ネットで展示場体験を
◆まず「リミア」の立ち上げの経緯を教えてください。
「リノコ」を運営する中で、設備修繕では対応できない問い合わせを多く頂いていました。そういう時はお断りするか、他のサービスをご紹介していたのですが、ユーザーサイドとプロサイドで、情報の非対称性を強く感じていました。そこで、私たちがちゃんと住まいに関する情報を提供し、リノコだけでは解決できないことを解決したいと考えて立ち上げたのが「リミア」です。
◆このサイトでは、どういった情報が得られるのでしょうか。
コンセプトは、住宅展示場。インテリアショップで得られる情報や雰囲気を提供すること。家を建てる時に、どうやって情報収集されるかというと、住宅展示場に足を運ばれる方が多い。同じようにインテリアを買う場合でもリアルなショップに行かれると思います。私自身もそうです。こういった時に、プラスオンとしてネットで情報を提供していきます。
住宅版「食べログ」目指す
◆住まいに関わる情報サイトは増えてきましたが、まだまだ情報が不足している状況にあります。
そういう状況を解消する意味でも、積極的に情報を発信していきます。その1つが、リミア編集部として独自で作っている記事。建築家さんへのインタビューのほか、シェアハウスなど今までになかった住まいの取り組みを取り上げています。
そのほかにも、登録した専門家が情報を発信しています。日によって差がありますが、多い日だと一日で100を超えるくらい専門家の記事が投稿されます。
◆登録している専門家は、どのような業種の方々ですか。
リフォーム店やリノベーション会社、工務店、建築士、インテリアコーディネーターなどです。こういった方々は自社の施工事例をアップして、写真集として活用していただいています。ほかにも自宅で教室をやっている人、ハンドメード、DIYのクリエイターなど個人の方もいらっしゃいます。登録はネットから無料で行うことができ、現在864人が登録しています。
◆住まいの情報サイトとしては、すでに先行しているものがいくつかあります。これらと差別化されている点はどこでしょうか。
こういう機能で差別化するとは考えていませんが、私たちは住まいに関わるすべてを取り上げていきたい。例えば「収納」について調べている人でも、家具を探している人もいれば、収納の仕方を知りたい人もいる。
こういった、住まいに関わること、1つ1つを掘り下げていけたらと考えています。現在、住宅業者さん以外にも、日比谷花壇さんや伊勢丹さんも登録していただいているので、情報の発信も増やしていきます。
◆先日の記者会見では、グリーの田中良和社長が、「食べログの住まい版のようにしていきたい」と話されていましたね。
今後登録業者を増やしていくことで、食べログ的な網羅性を実現していきたいです。目標としては、2018年までに専門家登録を1万人まで持っていきたい。
店探しをエンタメに
◆「2018年に100億円」ということを考えると、今後どのように収益化していくかが気になります。
これについては、まず広告事業からと計画しています。現在アクセスは月10万ですが、広告としてやっていくには、一日数十万というアクセスが必要。
もう1つはマッチングです。
◆今後専門家が1万人になれば、ユーザーの選択肢もかなり増えます。
それだけでなく、「リミア」だからこその価値が出てきます。実は、グリー創業者の田中も私も、前身は楽天にいました。楽天には４万店のショップが登録しているのですが、ネットだけで有名なお店が多数います。
例えば家電ではビックカメラなどが有名ですが、楽天では輸入家電を専門に扱うお店が人気であったりします。同じようにこれまで取り上げられてこなかった会社が、「リミア」で有名になってくれば、より活性化してくる。こういったお店を探すこと、そこでショッピングする「エンターテイメント」を提供していきます。
【会社概要】
設立＊2015年7月1日 ／ 資本金＊2億円 ／ 所在地＊東京都港区六本木6-10-1 ／ 主要株主＊グリー株式会社(提供:リフォーム産業新聞12月22日掲載)
