将棋AIのHEROZ 金融・建設にも
こんにちは。不動産担保ローンの日宝です。
昨年10月、ホンダの「スーパーカブ」シリーズの世界累計生産台数が1億台に達したそうです。日本では新聞・郵便の配達など仕事での利用が目立ちますが、アジアでは幅広く庶民の足として愛されています。1958年の初代スーパーカブC100発売から60周年を迎え、現在は世界15カ国16拠点で生産、延べ160カ国以上で販売されているそうです。これからも、アジアを代表するバイクとして普及してほしいですね。
さて本日は、将棋AI・HEROZの連携サービスに触れてみたいと思います。
「AIと人がコラボレーションするようなサービスをしていきたい」
2017年12月、マネックス証券の松本大社長(54)はヒーローズとの提携を発表した記者会見でこう述べた。1999年にマネックスを創業し、金融起業家の歩みを始めた松本社長。AIスタートアップと組み、新サービスを展開するわくわく感をにじませた。
両社の提携の中身はこうだ。外国為替証拠金(FX)投資家のトレーディング能力向上を目的としたマネックスの新サービス「トレードカルテFX」と、ヒーローズのAI「HEROZ Kishin(棋神)」を連携させる。個々の投資家の売買のクセをHEROZ Kishinが学習、どうすれば利益を得やすくなるのかをトレードカルテFXで助言する。
AIは機械学習でデータを蓄積・解析する。そこから、どのデータをどれだけ重視して答えを出すのかというモデルをつくる。さらに新たなデータを蓄積・解析してモデルのレベルを上げる。将棋ソフトの強さの源泉となるこの仕組みは、FX取引にも応用できる。フィンテックのお手本のような事例だ。
■有段者ずらり
ヒーローズの従業員35人のうち10人が将棋の有段者で、その頂点にいるのが林隆弘最高経営責任者(CEO、41)。アマ六段で、国内外の大会で優勝した輝かしい経歴を持つ。開発陣も将棋ファンの間で有名な人がそろう。リードエンジニアの山本一成氏(32)は東大将棋部の出身。山本氏が開発した「Ponanza(ポナンザ)」は、機械学習の手法を使って規則性を見つけ出し最適解を出す最強将棋ソフトとして有名だ。
これに迫る勢いだった「Apery(エイプリー)」を開発したのが、同じくリードエンジニアの平岡拓也氏(32)。平岡氏からすれば、山本氏はなかなか乗りこえられなかった壁。一緒に働くことに複雑な思いを抱いてもおかしくない。だが、林氏はこう言う。「平岡氏にとって山本氏はライバルであり、憧れでもある。そうした思いを持った優秀な人材が当社に集まっている」
クセのある人材が手がけた看板ソフトが「将棋ウォーズ」。日本将棋連盟公認で、スマートフォン(スマホ)のダウンロード数は380万に達したお化けアプリだ。
■NECで同期
林氏には盟友がいる。09年にヒーローズを共同で創業した最高執行責任者(COO)の高橋知裕氏(41)だ。NECの同期入社の2人は00年代の「iモード」ブームのころ、同期の飲み会にも参加せず、占いソフトなどを趣味でつくった。NEC時代はともに経営企画部にも在籍、「大企業の流儀も覚えた経験は役立つ」(高橋氏)。
林氏は「将棋ソフトで培ったノウハウをフィンテックや建設業界などに入れていく」と語り、「経済圏」を広げてきた。
17年に資本業務提携した竹中工務店との間では構造設計のAIシステムを共同で開発する。何十万にも及ぶ建設用部材の詳細なデータを入力し、建物の最適な構造を考案する。18年末には試作モデルをつくる。竹中はそれを進化させ続けることで最終的には定型的な構造設計業務の7割削減をもくろむ。
ヒーローズはハーツユナイテッドとも資本提携した。ハーツはソフトの不具合(バグ)を検出・報告する「デバッグサービス」を手がけている。AIで過去のバグの出るパターンを認識しておけば、バグの検出作業が飛躍的に効率化する可能性がある。
将棋ソフトの隣に位置するゲーム業界とも密接な関係を築く。バンダイナムコエンターテインメントやコーエーテクモゲームスもヒーローズに出資、ゲームの新たな可能性を探ろうとしている。
林氏は「ヒトが勘や経験と努力で進めてきた環境が変わり、ヒトはより大きな仕事ができるようになる」と語る。ブロックチェーン(分散型台帳)にも関心を示す。取引の信頼性を担保するブロックチェーンとAIを組み合わせた新ビジネスもにらむ。AIを軸に陣形を着実に固めてきた将棋好き集団。次の一手にも注目だ。
建設業ではほとんどの現場で残業が多く、週休2日制が実施されていないことがあり、こうした状況は労働力人口の減少が見込まれる中で若手人材の確保に極めて不利だと言われています。
こうした状況を変えるため、政府もイノベーション推進の取り組みを始めています。国土交通省は働き方改革や地域社会の活性化についてとりまとめた「社会資本整備におけるイノベーションの推進」資料で具体的に言及しています。なかでも核となるICT(情報伝達技術)やAIなど最新技術の活用については「i-Construction」という名前で詳細がまとめられています。
資料によると「生産性の向上」が今後の建設業が成長していくためのキーポイントであるとし、この実現のためには天候に左右されやすい現地での作業(現地屋外生産)や作業者の労働力に頼る割合が大きい(労働集約型生産」といった建設業界が従来から持つ課題の打破が必須であるとしています。
ICT導入などにより、2025年までの生産性2割向上という具体的な目標に向けたロードマップが設定されているそうです。
この取り組みは、現場の生産性を向上させ、安全性や賃金水準の向上、人材の確保など建設業界を抜本的に改善していくことを最終的な目的としているようです。AIに仕事を奪われるのではなく、AIによって生産性を高め、人にしかできない仕事へ集中して取り組む良い事例となるのではないでしょうか。今後も注目していきたいですね。