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トランプ次期米大統領は、世界の金融業界にプラスなのか



 こんにちは。不動産担保ローンの日宝です。
毎年恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補30語が発表されました。スポーツ関係からは、リオ五輪で金メダルを獲得したバドミントンの「タカマツペア」や、25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島の「神ってる」などがノミネート。また、「都民ファースト」「アスリートファースト」「盛り土」など小池東京都知事に関する用語もあがっているそうです。大賞の発表が楽しみですね。
 さて今日は、トランプ次期アメリカ大統領が与える影響について触れてみたいと思います。

トランプ次期米大統領は、世界の金融業界にプラスなのか

トランプ氏の勝利で世界的金融株高。背景は、米国の1)金融規制緩和期待、2)長期金利上昇、3)景気拡大、特にインフラ関連の貸出成長期待。
まだ規制緩和は織り込み切れていないため米銀には上昇余地も。半面、日・欧金融機関への恩恵は限定的。むしろ米金利上昇は、邦銀の海外収益にマイナス。
注目は各種選挙。トランプ大統領の登場で保護主義志向増大へ。12/4国民投票のイタリアは金融再建に課題大。欧州金融には引き続き慎重。

ドナルド・トランプ氏が米国の次期大統領に決定した。トランプ氏選出まで、銀行は世界で最も割安のセクターの1つだったが、選挙後は絶好調である。

主な背景には、1)金融規制緩和、特に、国際基準以上に厳格な「ドッド=フランク法」の大幅緩和、2)米金利上昇による銀行収益押し上げ、3)米国内のインフラ整備に関連する投融資機会の拡大、という思惑がある。選挙後既に株価はかなり上昇したが、米銀についてはまだ割安と考える。株価純資産倍率(PBR)が金融規制本格化前(2013年頃)に戻れば現値から30%程度のアップサイドが残されている(ちなみに2013年の平均10年国債利回りは2.3%で、現在より0.2%ポイント程度しか差がない)。

一方、日本と欧州の金融機関については、低金利、欧州や中国の金融システム不安、国際金融規制の修正余地は限定的であることなどから、米銀とは区別して考えるべきである。金融業界については、米銀株を選好したい。

以下では、トランプ政権誕生で予想される米国の金融の方向性を考え、国際的な金融システムや、邦銀への影響を検討する。
■トランプ政権の金融業界へのスタンスと金融業界への影響
◆ドッド=フランク法/ボルカールール大幅緩和の可能性
・米金融機関に対する影響度:「大幅緩和」宣言が実現すれば大いにポジティブ
ドッド=フランク法(2010年7月成立)は、世界金融危機の教訓をもとに制定された。オバマ政権は、今後金融機関の破綻で国民の税金が使われることがないよう、国際規制以上に厳しい規制を課した。
様々な規制の中でも、a) 資本比率、b)ストレステストに基づく株主還元制限、c)自己勘定取引や投資の制限(「ボルカールール」)等は国際規制よりも重く、米銀のROE低下を招いた。
トランプ氏は、選挙戦中、これらの金融規制を「撤廃」すると発言していた。当選後の演説では明言はなかったが、本日トランプ氏の「政権移行チーム」が、「ドッド=フランク法を取り除き(dismantle)、成長を促進し雇用を創出するような、新たな政策に置き換える」とウェブサイトに掲げた。
米国の追加資本が緩和された場合、米金融機関の資本に与える影響は大きい。しかも、毎年当局が行うストレステストが緩和されれば、株主還元が拡大できる。また全米で5.4億ドルに上るボルカールールのコンプライアンスや報告上のコストも圧縮できる(コストは米通貨当局の試算)。
実現可能性はどうか。これまでの報道でみる限り、共和党は、選挙綱領で、ドッド=フランク法の一部緩和には触れているが、大掛かりな改革には言及していない。その点ではまだ不透明感はある。しかし、大幅な規制緩和が成長と雇用に役立つものであり、かつ、国際規制に違反するものでない限り、他の難しい案件に比べれば異論は強くないだろう。
一方、トランプ氏は選挙中に、銀行と証券の分離を定めたグラス=スティーガル法(1933年制定、1999年廃止)の復活を提言している。仮に、銀証分離が求められた場合、米国の大手行は再び、証券会社をスピンオフすることを求められ(JPモルガンはチェースと分離、バンクオブアメリカはメリルリンチを分離など)、波乱要因となるだろう。

・邦銀に対する影響:恩恵は米国業務が大きい銀行に限定
ドッド=フランク法は、米国で営業する外国銀行に対しても、規模に応じて規制を行っている。米国の現地法人等の資産が500億ドル(5.2兆円)以上の大規模金融機関に関しては、米銀に準じる規制がかけられている。
もしドッド=フランク法が大幅に緩和されるなら、これらの外銀規制も見直されるだろう。現在の厳しい規制を真正面から受けている三菱UFJ FGは、米国にモルガン・スタンレーやユニオンバンクに対する緩和等も期待できるため、プラス効果は大きい。但し、次期政権の保護主義的な方向性からすると、いずれにせよ何らかの外銀規制が導入される可能性もあるため、現時点で楽観視はできない。

◆米国長期金利の上昇
米国の長期金利の上昇は、財政支出の拡大懸念と、経済成長への期待が要因である。この傾向は、トランプ氏が方針を変えない限り続くだろう。金利上昇は、米銀の収益を押し上げることから、規制緩和期待とともに、米銀株の上昇に寄与するだろう。

・邦銀への影響:ごく限定的
しかし、邦銀の場合、三菱UFJ FG以外は、米国の預金基盤が脆弱である。邦銀全体の外貨調達に占める預金の割合は依然3割程度と低い。それ以外の調達は市場金利の変動の影響を受けてしまう。中でも、「円預金」をドルに転換する「円投」の金額が近年増加しているが、これに関連するドル調達コストも急速に上昇している。従って、米国の金利上昇は邦銀の海外貸出収益上、中立か、むしろマイナスである。
一方、米国の金利上昇で日本の金利も上昇し、それが株価にプラスに働くとの見方もありうる。しかし、9月に導入された日銀のイールドカーブ・コントロールにより、日本の長期金利は、米国と連動しにくくなっている。これらの点から、米国の金利高は邦銀に直接的な恩恵は殆どない。

◆米国内のインフラ整備の活発化
トランプ氏は、向こう10年間で1兆ドル(約105兆円)の公共投資を行うとしている。米国内では、これに伴うインフラ・ファイナンスの活発化が見込めるだろう。
満額が本当に実行されるのか、されたとしても、どの程度が民間銀行の投融資で賄われるのかは不透明だが、米銀にとっては1.5兆円程度の資金利益を生む機会となろう(米銀のローン市場のシェア7割x105兆円x2%程度の利鞘という仮定で試算)。

・邦銀のメリット:現在のシェア維持なら1,460億円の増益
邦銀も、米国インフラ関連の貸出機会については期待できる。3メガバンク合計の米国のローン市場における日本の金融機関のシェアは7%程度となっている 。このシェアを前提とするなら、邦銀にとっても7.3兆円の与信機会が生まれることになる。海外の平均利鞘の2倍の2%程度の利鞘が取れれば、1,460億円の増益要因となる(全額実施時点の年額)。
もっとも、こうした政府主導のインフラ整備事業については、国内金融機関が優先される可能性もある。その場合、米国内の商業銀行と証券のグループ会社を持つ三菱UFJ FGがまたしても有利ということになる。

■中長期的な注目点:EUの結束力
他国への影響として市場が懸念するのは、ナショナリズムの台頭である。来月以降の欧州の選挙では、反EU・反移民の右派が勢力を伸ばしている。これらの選挙が、年末から来年に向けてのEUやユーロの存続に対する不透明要因となる。
手始めは、12月4日のイタリアの国民投票である。投票自体は、議会制度の改正を問うものだが、現在のレンツィ首相が、改正が通らなかったら辞任すると表明している。国民投票の結果は政治的混乱の引き金になりかねない。
そのイタリアでは、現在、金融システムの修復が始まっている。10月、第3位のモンテパスキが、大規模なリストラ計画を提出したのに次いで、第1位のウニクレディトが、1.5兆円と巨額の増資を計画中と報じられた。
しかし、未処理の不良債権額は資本との対比で依然大きく、担保となっている不動産も価格の下落が続いている。処理のためには増資が望ましいが、規模が大きいことから成否は不透明である。このような状況では、金融が経済成長を後押しすることは難しく、そうなれば、国民の不満も高まりやすい。
仮に、イタリア国民投票が不調に終わり、政局が混乱すれば、来年3月のオランダの議会選挙にも影響が出うる。イタリア同様オランダでも、不動産価格の下落が続いており、金融システムへの影響が懸念される。
このように、第二、第三のEU離脱国が発生すれば、欧州システムには大打撃である。従って、欧州金融機関については、引き続き慎重にみるべきと考える。


Yahoo JAPANニュース 2016年11月14日配信 トランプ次期米大統領は、世界の金融業界にプラスなのか  より引用


 トランプ氏勝利以降、アメリカでは反トランプ派によるデモが発生し、全米の中でも移民が多いカリフォルニア州では独立を目指す動きが広がっています。ニューヨークでも、州知事がFacebook上で「As New Yorkers, we have fundamentally different philosophies than what Donald Trump laid out in his campaign.(ニューヨーカーである我々の哲学は、選挙運動の中でドナルド・トランプ氏が唱えたものとは根本的に異なります)」と発言をし、話題になっています。
また、先日都内で開かれたシンポジウムでは、TPPからの離脱など保護主義を懸念する意見が出されました。
反対派に関する報道の一方で、世界的金融株高は期待の表れと捉えることができます。内戦が続くシリアのアサド大統領は過激派 組織ISの掃討強化においてトランプ氏に期待を寄せるなど、各国からも期待と懸念が出ているようです。
 アメリカは日本にとって重要な同盟国です。今回の初会談で良い関係を築き、今後の両国の発展につながることを期待したいですね。


不動産担保ローンの日宝より
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